和菓子って美味しいよね。
今回はある和菓子に纏わる心が温まるお話です。
あるところに浅草で生まれ育ち、年内での引退を決意した必死で頑張る和菓子好きなキックボクサーがいました。
残り少ない選手生活で、厳しいと思われる若く強い相手との対戦が決定しました。
彼は結婚していて、いつも試合会場には観戦する奥さんの姿もあります。
しかし、今回ひょんなことから奥さんは観戦するかどうか分からない…。
夫婦間のコミュニケーションというのは難しく。
互いが互いに気を使ったりすることが行き違いとなってしまうことも時にはあります。
しかしながら、彼はプロ格闘家。
私生活で何があろうと決まった試合に向けて努力します。
彼は毎日食べている大好きな和菓子を我慢して、試合に向けて頑張って厳しい練習を重ね、減量もしていました。
苦しい減量も大詰めとなった計量前日の夜。
所属ジムの代表からの連絡で、彼は失意します。
「今、連絡があって緊急事態宣言で試合が延期に…」
なんと試合は急遽4週間後に延期となってしまいました。
引退までのカウントダウン。
今回は強敵との対戦ですが練習では良い動きができていたし、試合ができることを楽しみにしていた彼は言葉では言い表せない哀しさに眠れないまま朝を迎えました(多分)。
次の日の朝、食卓の上には美しく美味しそうな和菓子が二つありました。
落ち込んでいる彼の姿を見た奥さんが、朝早くから美味しいと評判のお店へ彼の大好きな和菓子を買いにいってくれていました。
気持ちの整理もつかず落ち込んでいた彼のことを考えた奥さんの優しさ。
今回、試合前に心の行き違いはあったものの、夫婦っていいなって私は心が温かくなりました。
そして、彼は一日も休むことなくその日からキツい練習を再開し、何事も無かったかのようにまた前を向いて延期された試合に向けて進んでいます。
いーきてぃる、いきてーいるー、そのー、うーつつだけがーそーこーにあるぅー。
実際の話なのかフィクションなのかはご想像にお任せします。